コーナー: 定点磨き
靴: フローシャイム / ケンムーア(68年製・ロングウイング)
作成日: 2026-07-19
カテゴリ: 靴
タグ: #靴 #靴磨きレポート #定点磨き #フローシャイム #ケンムーア
このページは、私が持っている一足を手入れするたびに追記していく定点観測の記録だ。
この一足のカルテ


- ブランド/モデル: フローシャイム インペリアル ケンムーア(ロングウイング・フルブローグ)
- 革/色: シボ革(ペブルグレイン)/ミディアムブラウン
- 製造: 1968年(ソールのVクリート、ヒール釘打ち、刻印から
- サイズ:US9D
- この靴の立ち位置: ごついケンムーアはどの年代までか で書いた77年製デッドとは別物。あちらは「器用さ」寄りで個人的にはがっかりしたが、68年製は厚いアッパー、深いピンキング、ダブルソールのガンボート感が残っている。
これまでの歩み(年表)
- 2026-07-19 … 定点磨きページ開設。無色クリームでの保湿、トゥの小さな剥がれ傷の補修。←今ここ
観測ログ(新しい順)
2026-07-19 | 初回(無色クリーム+トゥ補修)

今回やったこと: 馬毛ブラシでホコリ落とし → レザーバームローションで汚れ落とし → TWTG無色乳化クリーム → サフィールノワール ナッパ(無色) → トゥの剥がれ傷を軽く補修
使ったもの: 馬毛ブラシ/サフィール レザーバームローション/TWTG オリジナル乳化性クリーム(無色)/サフィールノワール ナッパ(無色)/豚毛ブラシ/靴磨き用クロス2枚
今回は保湿とトゥまわりの小修復が主目的。
普段から無色クリームで回しているので、全体の色はそこまで暗くなっていない。
ただ、トゥ中心に色が抜け始めたように見える箇所が出てきた。
次回以降は茶色クリームも検討しようと思う。
Before:58年目のシボ革
全体像
ロングウイングのブローギングがヒールまで続く、いわゆるガンボートだ。
シボの粒が大きく、光の当たり方で色が変わる。
77年製個体に比べると、アッパーの厚みとソール周りの重さがはっきり違う。

現行ではみられない不規則だが粒の揃ったシボ
ここら辺の比較記事は別で書く予定だ。
踵から見ると、ピンキングのギザギザが深い。
現行の量産ブローグでは、ここまでエッジが立つことは少ない。
シューツリーはオールデンのタッセルローファー(アバディーンラスト)用に使っていたものがピッタリだったので使用している。
オールデンのプレートがついているものと比較して、やや薄い作りになっていてフィットした。
いつかシューツリーの組み合わせについても記事にしようと思う。
トゥとヴァンプ

ゴチゴチしたソールでオールソールしてもらえるところを探している。
トゥキャップに自然なツヤはある。
一方で、メダリオン周辺とトゥ先端に、色が薄くなったように見える部分がある。
傷は小さくて見づらいが、写真中央からやや左下のウィング内側よりの色が薄くみえる部分だ。
小さく剥がれており、表面が薄く捲れ上がっている。
今回はそこを軽く補修した。
ソール

ヒールのVクリート、ソール中足部の釘打ち。
アッパーの手入れ記事にソール写真を混ぜるのは、定点磨きとしては横道だが、この一足の年表には必要だ。
58年経っても革底がここまで残っているのは、当時のソール厚と釘打ちのおかげだろう。
使った道具

左から、ペネトレイトブラシ、TWTG無色クリーム、サフィールノワール ナッパ、サフィール レザーバームローション(ローション表記)。
豚毛ブラシ、クロス2枚。
無色保湿を行う際の定番セットだ。
1.ホコリ落とし
日常的に行うホコリ落としと同様、全体の汚れを払う。
外羽根なので紐も全て外して端まで埃を落とす。


2.汚れ落とし
サフィールのレザーバームローションをクロスに少量とり、薄く伸ばして拭く。
ロウ分が少ないクリームで普段からメンテしているので軽くで済ませている。


3.無色の乳化性クリームを塗り、指で念入りに馴染ませる



次はブラッシング




拭き取り目的ではなく、
細部に馴染ませる感覚で拭いている

カジュアル寄りの靴でもこれくらい光っていると嬉しい
普段ならここで終了。保湿は十分
4.ナッパクリームで油分を足す
今回は1ヶ月以上経ったので油分も薄く足しておく。
普段は高頻度で乳化性クリームを入れて保湿するだけだが、たまに油分を入れるとゴワつきが減る気がする。
あんまり重たいのは好きではないので、ロウ分控えめのナッパを使う。
(クレム1925の無色も持ってはいるが、出番はかなり少ない)

これくらいを2回で片足分


5.クロスで拭き取り&磨く
今度は余分なクリームの拭き取りも意識して磨く。

ベタつくと埃をくっつけて、その埃が靴の油分を吸い取って劣化につながる。
ベタつく→ホコリがつく→ホコリが靴の油分を吸う
→靴が劣化する
という最悪のステップを阻止するため、丁寧に磨く。



ビジネスマン用の量産靴として売られていたらしいが、
現代だとかなりの値が張る革質だ

右Before・左After(同日比較)

左足だけ先に手入れを終え、右足をBeforeとして並べて撮った。
画角は揃えたつもりだが、光の入り方で差が出る。定点観測としては許容範囲とする。


左足(After側)の方が、シボの粒に油分が回って立体感が出ている印象。
‥と言いたいところだが、正直写真だと違いがわからない。
無色クリームの定点記録としては、こんなもんなのかもしれない。
剥がれ傷の補修をやってみる
濃く小さい剥がれ傷があったので、手持ちの道具で誤魔化せないか試してみる。
履き皺や可動部であればプロにお願いするのだが、今回は非常に小さな表面上のもので、かつ履いても動かない部分だったのでやってる。


使ったもの
- 接着剤(ダイアボンド)
- レザークラフト用針

接着剤は正直なんでもいい気がする。
家にはクラフト用のダイアボンドがあったのでこれを使用した。
針もクラフト用のもので、裁縫針と違って先端が丸くなっている。
そのため革に傷がつきにくく、作業がしやすかったのでおすすめだ。使い捨てなら爪楊枝とかでも全然問題なさそう。
ダイアボンドを針を使って塗る


ダイアボンドは貼り付けたい面の両方に塗り、乾いてからくっつけるタイプのボンド。焦る必要はないので慎重に塗る。
押さえつける
押す方向に注意してしっかりと圧着させる

爪で押さえつけるだけでもいい。

だが色味が違ってまだ目立つ。
補色
最後に補色してかるく磨いて終了。
せっかくなので色はクレム1925を混ぜて作ってみた。
使ったのはコニャックとタバコブラウンの2色。
タバコブラウンだけでも多分目立たない仕上がりになるが、傷部分は色が通常より乗りやすい可能性もあったので明るいコニャックも保険で足しておいた。
プロの方によっては靴に合わせてベストな色を毎回調合してくれるらしい。
靴磨き技術は再現がなく興味をそそる。



マットな部分がそう。

かなり馴染んだと思う。
少しクリームの色が暗かったかもしれない。
ニュートラルも混ぜて濃さを調整しても面白いだろう。
次に考えていること
- トゥの色抜けが進むなら、次回は茶色乳化性クリームを局部投入する
- 無色だけでどこまで持つか、あと2〜3回のログで判断する
- ソール側の定点(ヒールの減り、Vクリートの状態)も別途追うか検討
68年製は、ゴチゴチな革質と硬い作りで求めていた方向にいる。
ケンムーアは5足ほどあるので一覧比較をしてみようと考えている。
参考・関連
- ごついケンムーアはどの年代までか(77年製との対比)
- タニノクリスチー_クォータブローグ ― (定点磨き・無色路線の別足)